鳴門わかめの撮影取材。
鳴門わかめの漁船に共に乗りこみ、漁師の仕事を間近で見た。
海はあおく美しいが、うず潮で有名なこの場所は、潮流が激しく熟練の漁師でさえ命がけだ。
ただ、このこの潮流こそが鳴門わかめの力強い歯応えと鮮やかな緑をうみだす。
決して欠かせない要素なのだ。

わかめは繊細で、採れたらすぐに布を被せ、日から避ける必要がある。
ボイルも手早く、適温で、だがしっかりと火を通し、海水でしめなければならない。
ひとつひとつの何気ない工程に、職人の技があり、彼らは黙しながら手を抜かない。
側で見たのはほんの一端に過ぎないが、やはり大変な場面も多いという。
それでも鳴門漁師には、「鳴門のわかめはうまい」という強い誇りがある。
苦労を伝えたいのではなく、少しでもこの美味しいわかめを多くの人に食べてもらいたいのだ。

もっと言えば、鳴門まで来てみてほしい。
私も実際にとれたてを目の前でボイルされ、さっと鮮やかに色を変えた、そのままのわかめの味が忘れられない。
あの感動は、きっと現場でしか得られない。
そして彼ら漁師の表情を見て欲しい。
店頭に並んだPOP写真よりも遥かに深く、人情に満ちた姿を見たらきっとこの場所に愛着が湧くはずだ。
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